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読書亡羊

気ままに読書、気ままな読書日記

Thomas Kasulis『神道』 (2004)

2004年刊行。翻訳は2014年。 著者は、アメリカにおける日本思想、宗教哲学の第一人者。 神道という極めて捉えどころない宗教を外国人の視点から、体系的にまとめている。 多くの日本人にとって、神道は、普段、宗教religionとして意識されることは、まれだろ…

弓削達『ローマはなぜ滅んだか』 (1989)

人類史上初の世界帝国ローマは、いかにして滅んだか――― これは、人類史の中で最も魅力ある主題のひとつだろう。本書はそうした問いに、ローマ繁栄の裏にある経済や社会構造の歪みなどに焦点を当ることで答えようとしたものだ。*カルタゴとの覇権争い ローマ…

全ての道はローマに通ず - omnes viae Romam ducunt - All roads lead to Rome

3世紀末のディオクレティアヌス帝時代の資料に、ローマの公道の総距離数を示すものが残っている。 それによると、幹線となる国営の公道は、総数372道、延べキロ数約85000㎞になる。 国土交通省の資料によると、日本の高速道路の総距離数は2016年現在、9165㎞…

樺山紘一『ルネサンス』(1993)

*近代性の裏に隠れたルネサンスの異なる側面 19世紀中葉にミシュレーとブルクハルトによって作り上げられたルネサンスという歴史の見方に対して、20世紀になるとフランセス・イェーツなど、ルネサンスに対して異なる歴史の見方を提示する試みが行われるよう…

阿部謹也『刑吏の社会史』 (1978)

*社会史とは何か 社会史とは何を対象にした歴史なのだろう。 歴史学の中でも政治史、経済史、法制度史、美術史、建築史といったものは、対象がはっきりしているので分かりやすい。しかし、社会史と言われると何をする学問なのか途端に分からなくなる。 この…

阿部謹也『ハーメルンの笛吹き男』 (1974)

*人々を解釈へといざなう民話 洋の東西を問わず民話は、単純な起承転結の物語になれている現代人にとって、非常に理解しにくいものが多い。 動物譚や英雄譚など子供が喜びそうな題材を扱っていながら、内容の意図がまったくつかめないため、なぜか読後に不…

Jared Diamond 『銃・病原菌・鉄』(下巻) (1997)

・上巻Reviewからの続き blogboyo.hatenablog.com*個別の地域を検証する(下巻) 下巻は、まず文字の発明、技術の受容、社会の集権化を概説した後に、上巻で示した仮説を敷衍して個別の地域への検証を行っている。 大胆な仮説を提示した上巻に比べると、や…

Jared Diamond 『銃・病原菌・鉄』(上巻) (1997)

*人類史という試み 原書は、1997年の刊行で20年近く前のもの。 訳書は、文庫版で上下二巻。 さすがに20年以上前の著作となると、現在の研究成果からは否定されているような説も部分的に散見される。 たとえば、著者は、ネアンデルタール人に関して、クロマ…

大島直政『イスラムからの発想』 (1981)

一般のイスラム教徒には、異教徒と理解し合おうという思想はない、ということを心得ておかねばならない―― 異文化相互理解の基本である「お互い理解できないということを理解する」という点にすら到達するのが難しいのが一神教の厳しい世界観であり、安易に「…

Mortimer J. Adler 『本を読む本』 (1940)

*批判的読書のために 原著は1940年の刊行。 戦前の古い著作で、教養主義的な読書論を展開した本ではないかと思って長年読むのを敬遠していた。だが、古書店で安く手に入ったのでふと読んでみたら、批判的読書critical readingの基本を説明した実践的なもの…

外山滋比古『思考の整理学』 (1983)

初出は1983年(文庫化は86年)。InternetやPCが一般化するずっと前の作品だ。しかし、著者は、すでに本書で、博覧強記といった知性の型はcomputerの登場で全くその価値を失った、と述べている。情報化時代といった言葉が話題になり始めていた頃だ。 確かに、…